「奈良のシカ」被害の対応

本日はこちらの記事を取り上げてみました。

記事名:天然記念物「奈良のシカ」増え…県が捕獲

www.news24.jp

 

記事の概要

古くより神の使いと呼ばれ、国の天然記念物にも指定されている「奈良のシカ」を奈良県が天然記念物指定後としては初めて捕獲を行った。シカの個体数増加に伴い、農作物への被害を減らすための処置とのことだ。

今後の予定としては来年3月までに120頭の捕獲を予定しており、捕獲したシカは殺処分して生態系調査に活用する。

 

記事の問題点

今回は如何に人間と動物との間で共生関係を築き上げていくべきかという点に注目して自分の考えを述べてみたいと思います。

 

記事にある「奈良のシカ」問題に関して、今回の奈良県が行った処置については理解できる点と納得しかねる点があります。それぞれの点を以下に記載しました。

 

理解できる点としては現時点で農作物への被害が出ており、早急に解決しなければならない問題として即効性が期待できる捕獲(殺処分)という方法を採用している点です。

その一方で納得しかねる点としては、国の天然記念物としても登録しており、奈良の観光名物にもなっているシカを人間側の都合が悪くなったからといって捕獲(殺処分)するという方法で問題解決することが果たして本当に最善策なのかという点です。

 

「奈良のシカ」というブランドは長い年月にわたって人々より大切な存在として親しまれてきたという背景があってこそ成立するものだと考えています。今後も「奈良のシカ」というブランドを守っていく上でも、人間側の都合で安易に殺処分を続けていけば結果的に「奈良のシカ」というブランドの棄損にもつながると思います。

 

対応策の提案

僕のほうからこの問題について提案したことがあります。その前に地域ネコの取り組みをご存知でしょうか。どのような取り組みかというと増えすぎた野良ネコに去勢手術を行い、個体数の増加を抑えつつ、地域全体でそのようなネコの面倒を見ていこうという取り組みです。(必ずしも上手くいっているわけではないが。)

 

人間と動物のよい共生関係というのはある一定のバランスが保たれてこそ生まれるものだと思います。そうであればこの地域ネコの取り組みのように殺処分によらない形での個体数の抑制というのも検討の余地があるのではないかと思います。

 

最後に

上で挙げた個体数の抑制方法は大変長い時間がかかるものです。直近の農作物被害を早急に解決する手段にはなりません。また個体数抑制のために動物に去勢を施していくのもまた人間のエゴなのではないかと言われれば、その通りだと思う一面もあります。

 それでもその時々の状況に応じて考えられうる最善策を講じていき、進化させていくことこそ人間と動物とのよい共生関係への道筋ではないかと思った次第です。